「若冲ワンダーランド」に行ってきた-伊藤若冲をめぐる旅(5)

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伊藤若冲

伊藤若冲のその大きな特徴、魅力は、既に先ほども書いていますし、またリンク先にもいろいろと詳しく書かれていますが、独創的なその絵にあります。それゆえに、過去に置いては異端的な扱いを受けたりもしていたようなのですが、最近では我々現代人の美術感覚に近く、絵画におけるメインストームの画家として評価が高まっているようです。伊藤若冲についての説明はこちらも秀逸ですので、是非ご覧下さい。

私自身としては、そのようなアートシーン、あるいはそこにおける伊藤若冲の評価自体の変遷について、詳しい訳ではないのですが、やはり200年以上も前に、どうしてこのような「奇想天外」な、まるで子供のような純真無垢で、どこにも類似したものが全く無い絵を描けたのか、すごいとしか言いようがありません。例えば先ほどご紹介した「象と鯨図屏風」でも、どうして鯨の絵で、こんなクルクルとした波形になってしまうのか・・・まさにOne & Only です。

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象と鯨図屏風の鯨部分の拡大写真。江戸時代 寛政7年(1795) 紙本墨画 六曲一双 寸法 H-159.4 W-354 Original image is here.

時には鶏の羽の一枚一枚を深く描写したかのような写実的な絵を書いたかと思うと、時にはまたPOPで現代アートのような、又は笑ってしまうような漫画チックな絵を書いたり、そのレンジとクリエイティビティには深く経緯を表するばかりです。

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霊亀図(鶴亀図双幅のうち)伊藤若冲筆 江戸時代18c  紙本墨画   H-114.9 W-52.3 MIHO MUSEUM蔵 Original image is here.

例えば伊藤若冲のそのOne & Onlyぶりを象徴する技法の一つに「枡目描き」というものがあります。これは淡墨で縦横大体1cm間隔で線を引き、画面全体に方眼を作り、その中を幾重にもまた塗ってベースを作り、その上に絵を描く、という手法です。これによって、まるで現代で言うとデジタル出力、ドット印刷したかのような絵になるのです。ものすごく根気のいる作業ですし、どうして200年前にそのような技法を思いついたのか・・・すごいとしか言いようがありません。

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伊藤若冲「白象群獣図」 江戸時代18c 絵本墨画淡彩 額装一面 個人蔵。今回の展示会でも生で(当たり前ですが)見ることが出来ました。個人蔵とは、うらやましすぎます・・・。

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鳥獣花木図屏風/伊藤若冲 右隻 Etsuko & Joe Price Collection蔵 「若冲と江戸絵画」展 公式ブログフォトライフより。これも数少ない現存する枡目描きの絵。
Joe Priceは早くから伊藤若冲の価値に気付き、世界でも有数の伊藤若冲コレクションを形成しています。これまたうらやましいというか、審美眼があるというか・・・。

こちらのサイトでも、かなりの若冲の絵を見ることが出来ます。

続く。

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