嫉妬で自己嫌悪したときに読む話

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先日、親しい友人とご飯を食べる機会がありました、

 

その友人はまだ若く、不動産関係の会社を経営しているのですが、

 

「この業界は本当にIT業界並に生き馬の目を抜くほど激しんです。それで、時々自分より若い経営者が現れたかと思うと、あっという間に自分を追い抜いていってしまったりします。勿論社内でそんな話はしないですけど、正直イラっとするし、かなり嫉妬してしまいます。それでまた自分はなんて小さいんだと自己嫌悪したりするんですよね・・・」

 

という話をしました。私は

 

「いや、それはむしろよかったよ」

 

と応えました。

 

「え?それはどういう事ですか?」

 

「嫉妬するってのは、基本的には自分の精神が健康健全な証拠だよ。自分より若い、後発の経営者が自分を追い越す。普通は嫉妬して当たり前だよね?むしろそう感じない方が病んでいるし、経営者としてスポイルされてしまっていると思う」

 

「なるほど」

 

とその友人は言いました。

 

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開高健っていう作家も昔同じ事言っていたよ。篠山紀信ってカメラマン知ってる?」

 

「ええ、勿論知ってます。有名な方ですよね」

 

「そうそう。昔、篠山先生のところにいた若いアシスタントが、独立して大評判になったんだよね。それである時、開高が篠山紀信に会った際「そちらにいた例の若い人、今や飛ぶ鳥を落とす勢いじゃないですか」と言ったら「ああ、開高先生、あの程度で良いのなら、うちにいくらでもいますから」と言われてびっくり仰天したわけ」

 

「どうしてですか」

 

「開高は篠山紀信に写真を撮ってもらう事が多かったので、スタッフのレベルを知ってたんだね。その中でもその独立した若手は、やはりずば抜けて腕が良かった。当然篠山が知らぬはずがないので、褒めたところ、それをまさか「あの程度」と言うとは夢想だにしてなかったので驚いたんだね。それで開高はそのことを後日エッセイに書いたんだけど、なんて書いたと思う?」

 

「まさか篠山紀信はチンケだとかディった訳じゃ無いですよね?」

 

「まさか(笑)。さっき僕が言った話と同じだよ。すごいびっくりしたけど、老いてもなお精神は瑞々しく、健全かつ健康な証拠だと。形を変えた先生からの叱咤激励だからがんばれよ、というその元スタッフに問いかけるようなコラムだったね」

 

「なるほど、やっぱり高名な作家は違いますね」

 

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実はこの開高健の話は、私がまだ20歳位の頃に読んだ話です。なぜかすごい記憶に残っていたんですが、今回、若いその若い経営者との話の中で久しぶりに思い出しました。

 

あまりに深い嫉妬は勿論自らを滅ぼしますが、日常暮らしていてふっと感じる程度の嫉妬心は、心が健康な証拠です。気にせずむしろ自分がまともで良かった、くらいの感覚、が一番良い「自分とのつきあい方」、距離感なのかなと私は思ってます。


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