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100円玉の重みが語る借り物ではない言葉のチカラとは

しばしば本を読んでいると、印象に残るフレーズというのが出てきます。

 

私の場合、その中の一冊が、もう十数年以上前に書かれた、グッドウイルグループの折口会長の書いた本「プロ経営者の条件」です。

ゼロから立ち上げ、人材派遣業をコアに介護サービスなど、創業から10年で東証一部上場、グループ総売上1,400億円まで育てた、まさに名経営者と言って良いでしょう。この本は10万部を超えるベストセラーになりました。

部屋の書棚を探したのですが、どうしても見当たらなかったので、とりあえずこちらを。

1円ってすごいですね。でも1円以上、送料以上の価値はあると思います。


ただし、ご存じの方もいると思いますが、グッドウイルグループは今はありません。厚労省からの介護報酬不正受給や、違法派遣問題が次々に明るみに出て、折口氏自身も芸能人や怪しげなつきあいを週刊誌で叩かれます。結局会社は事業を他社に買収される形となり、事実上グループは解体され、本人は破産した・・・ことになっていますが、資産の一部を親族に移す形で保全したとされており、今は永住権のある米国で暮らしてます。以降、表舞台には全く出てきません。そして恐らくこれからも出てくることはないのでしょう。

結果的にかなり寂しい晩年になってしまったワケですが、この本は折口氏自らが幼少期から挫折を繰り返しながら這い上がり、成り上がったところまでが書かれています。この本を出版した時は御本人の人生最大の絶頂期でした。

この本には、読むとまさに波瀾万丈の人生を、自分の才覚で乗り切ってきた事が書かれており、一度読み出すとあっという間に引き込まれてしまい、一気通読を止めることが出来ません。

小さい頃、父親の会社が倒産し、生活保護を受けながら自衛隊関連の高校に入る事(高卒資格が貰える上に給料が出るのでカネがかからずしかも家に仕送りも送れるため)。自衛隊入隊後、夜の消灯時間、こっそりと布団の中で電気を付けて受験勉強をし、なんと防衛大学に入学出来た事。5分後にグラウンドに出てぐちゃぐちゃの雨の中を走り回るにもかかわらず、クツをすり減るまでぴかぴかに磨かされ、少しでも汚れていると猛烈なペナルティを受ける矛盾を通じて世の中の不条理さを学んだ事。卒業時任官拒否し、民間に就職し、ベルファーレやジュリアナの立ち上げで大成功するがパートナーに裏切られて会社をクビになった事。その後人材派遣会社を立ち上げ、大成功する事・・・。

何しろ書いているのが御本人なので、勿論多少のお化粧、ショーアップはしていると思います。しかし、それにしてもなかなか希有なキャリア、人生の軌跡なのは間違いありません。

この著作の中で、私がすごい印象に残っている記述が2点あります。

一つは「経営は下りのエスカレーターを登るようなものだ。ちょっとでも休むと瞬く間に下がってゼロに戻ってしまう。一瞬たりとも経営は気が抜けないものだ」という記述です。

これは私もしがない小さな会社の経営者として非常に「実感として」共感出来る表現です。どんな経営でも、あるいは事業部でも、個人の成長でも、この程度でいいな、と思ったら、間違い無くそれ以下しか達成できません。もっと大きくするぞ、と思って頑張っても、せいぜい現状維持なのです。だとすれば現状維持でいいか、と思った瞬間どうなるかは言うまでもありません。

実はサイバーエージェントの藤田社長がこの本が出た当時、「事業を成功に導くためには、ボウリングと同じで、センターピンがどこか正確に見抜き、そこをピンポイントで倒すことが事業としては重要だという内容に感銘を受けて、社内でも新規事業の審査でそのような話をしている」というような事を書いていました。

で、ぐぐると、あ、ありました、この記事です。2005年に書いてますね。

この「センターピン」という概念は確かに素晴らしい考え方だなと私も思ったのですが、私が感銘を受けたもう一つの点は残念ながらそこではありません。むしろ経営の方法論とはまるで無関係の記述でした。

折口氏がディスコ事業で成功した後裏切られ、会社をクビになった頃のお話です。

当時既に妻子が居た折口氏は路頭に迷いかけていたわけですが、ある日卓上占いおみくじ機を数十台仕入れて、、喫茶店に置かせて貰う事を思いつきます。今はほとんど見かけなくなりましたが、今で言うガチャガチャです。こんな感じのやつですね。 昔はスマホもないですから、こういう小銭でも暇つぶしは割と人気があったのです。

そして毎月末になると、集金のためにあちこちの喫茶店を車で回ります。売上は設置させてくれた喫茶店との折半です。機械から100円玉を引き出して袋に入れる。その出てくる100円玉のずしっとした重みが、これでまた少し食いつなぐことが出来る、そう思うとこんなにもありがたく、また今の境遇を思い、こみ上げてくるものを感じながら集金していた、というくだりが出てきます。

私はこの部分を読んで、猛烈に引き込まれてしました。ものすごいリアルで、すごい心象描画だなと思いました。どうして未だにこんなに記憶に残っているのだろう、と未だにふと思う事があるのですが、単にドラマティックだという事ではなく-実際、単にドラマティックな話であれば世の中には沢山あります-恐らくそれはどこからか借りてきた言葉ではないからかも知れません。

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彼の人生の晩年は、残念ながらあまり褒められたものでは無いのかも知れません。勿論個人的な面識もないので、本当はどんな人物かも存じ上げていません。また実際どっちでもどんな人でもいいのです。

ただ誇りを失い、おちぶれ、追い詰められて、占い自販機からじゃらじゃらと出てくる100円玉の重さに、ありがたさと自らの境遇を思うとき、視界かかすむような気持ちになるというのは、借り物ではない言葉のチカラがあり、掛け値無しに嘘偽りはないのだろうと思いました。それは彼にとって間違いの無い「真実の瞬間」であり、かつ多くの人と共有可能という、極めて希有なものだったように思います。

借り物ではない、自分自身の言葉のチカラは、強く心に届くものなのかも知れませんね。


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