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マルチタスクはWeb業界でも使えるのか-星野リゾートとの違い

星野リゾートの星野社長さんのインタビュー記事が出ていました。

 

星野社長さんは私の大好きな経営者の一人で、良く彼の本を買って読ませて貰っています。

例えばこの本なんかも出版されたのは2013年ですが、全く臭くありません。未だに手にとってたまに読んでいます。

競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略

そういえばここにも星野さんの写真が。

20170505_132317

 

それで、この東洋経済の記事には、いくつもの大事なテーマが書かれていますが、その中に一つに「マルチタスク」があります。星野氏の著作や雑誌の紹介記事にもしばしば「マルチタスク」が取り上げれており、上記の記事には以下の様な記述があります。

-では、どのように世界のホテルと戦うのでしょうか。

 

星野 そういう状況で世界の大都市に進出していくには、自分たちのポジションを明確にしなければなりません。その方法の一つが、マルチタスク(=セクションに分かれず、一人のスタッフがフロント、客室、レストランなど多様な働き方をすること)のサービスチームです。お客様の滞在の流れに沿って、レストランサービスからチェックアウト業務、清掃まで一人のスタッフが担当します。これを世界で採用している運営会社は私たちしかありません。これが世界進出する際の競争力のカギになると考えています。

たとえば、「星のや東京」では84室に対し、120人のスタッフしかいません。外注はゼロです。当然スタッフ数は少なく済むため、生産性も上がります。それがオーナーに対し、私たちが高いリターンを提供できる根拠となっており、ほかのライバル企業との差別化を可能にしています。

弊社でも実はこのマルチタスクは良く行っています。といっても、我々のWeb業界は技術職がメインのため、WebデザインやりながらWebプログラムをやりながら営業も出来る、という人材は存在していません。理論上はあり得るのかも知れませんが、イエティ並にマボロシの人材です。

 

しかし、一部の業務についてはフロント業務と兼任してもらっています。具体的に言うと、開発規模の大きく無い案件について、という前提ですが、例えばWebデザイナーが顧客とコミュニケーションを取りながらデザインを作る。プログラマーが顧客の要望の詳細をヒアリングし、打ち合わせを踏まえた上でプログラムを開発する、というスタイルです。技術者が顧客とコミュニケーションを直接取りながら進めるスタイルです。

20170313_145517

弊社がこの方法を採用しているのには、単なる生産性という事ではなく、二つの意味があります。一つは業界全体の悩みでもあるのですが、プロジェクトの司令塔であるWebディレクターをなかなか採用出来ないという問題です。そもそもWeb業界自体が出来てからまだ20年くらいしか経っておらず、極めて歴史の浅い業界です。その中でWebディレクターというのは職種的にも認知度が低く、なり手もそう多くありません。それよりはWebプログラマー、Webデザイナーの方が職種としてはまだ分かりやすいわけです。なので、現状プロジェクトによっては、作り手にある程度Webディレクション業務を兼務して貰う、いわばマルチタスクによってカバーをしているわけです。

 

そしてもう一点は作り手の成長を考えてのことです。WebプログラマーやWebデザイナーといった開発者というのは、これも業界も問わずよく見られる傾向だと思うのですが、顧客から遠くなればなるほど作り手の都合を優先する傾向にあります。顧客の顔が見えない、直接顧客と接することのない環境で長いこと開発をしていくと、間違い無く独りよがりの技術者になります。そこで、顧客と打ち合わせをしながら開発をする、という事が、品質は勿論ですが、技術者の成長にとって非常に重要だと考えています。将来的に仕様の設計やコンサルティングといった上流部の仕事、スキルのステップアップもしやすくなります。同じソースコードを書いても、顧客との会話を経ているのといないのとで、実は全く意味が異なると私は思っています。

 

会社全体で見ると、実は開発者というのは、黙って開発だけをさせてる方が効率が良いのは間違いありません。マルチタスクで顧客との打ち合わせに同席させる時間があるくらいなら、その時間でソースコードを書いて貰っている方が売上が上がるからです。

 

実は弊社では以前完全分業制を採用して、そのようにやってみたことがあるのですが、結論から言うとうまく行きませんでした。私も業界歴が長いので、また立場上、それなりにいろんな教訓を得る機会があります。その時は顧客と営業/ディレクター/Webプログラマー・Webデザイナー/担当役員との間で、膨大な伝言ゲームになってしまいました。また、顧客と接する機会が無いため、自分がいかに的外れなのかそうじゃないのか、という評価の軸が技術者達の中で育ちませんでした。更に仕事のやらされてる感もたまります。これでは納品品質は上がりませんし、顧客満足度も上がりません。誰にとっても良くないわけです。

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先日九州のクライアントとの打ち合わせに若手を出しました。人づくりのために、遠方でも客先に出すのは大事な事だと思っています。

技術者にフロント業務を一部担当してもらう事は、単なる生産性の議論ではなく、技術者に誰のために、何のために開発をするのか、という事を強く意識して貰う事が出来、また個々の機能の背景を理解した上で開発を進める事が出来るため、品質を上げる上でも大変有益だと私は考えています。

また、実際の他の製造業でもこういう事例をよく見かけます。ただ、これはWeb業界における私の経験を踏まえた個人的な考えであって、それが絶対に正しいという訳ではありません。また、同じIT業界でも、Webと基幹業務開発系では同じ動物ですがイヌと猫くらい種が違いますので、恐らく考え方も方法論も相当異なると思います。同じWeb業界でも大規模案件になると、プロジェクトマネジメント手法は限りなく業務系システムに近似していきます。

 

要はマルチタスクをさせるべきか否か、というプロジェクトマネジメントの議論は、その方法論自体の「絶対的な価値」を論じても意味が無く、上記のような視点やその会社のおかれているステージによって、最適解が変わるものだと私は思っています。サッカーで言うと、フォーメーションには4-3-3や4-5-1、いろんな型があり、それぞれのメリットデメリットはありますが、結局のところはどう使いこなすかは監督のビジョンの問題です。

 

私は残念な事に監督(経営者)としては未だに勉強不足で未熟の極みですが、星野さん関連の記事で、マルチタスクの記述を見ると、改めて自社の事をいろいろと考える良い機会になっています。

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