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Web業界とアート業界の共通項-値段が安いのは言い訳に使えるか?

すっかり書きそびれてしまいましたが、昨年読んだ本の中でマイトップ3に入るのがこの本です。

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最近すっかり有名になりました、デビット・アトキンソンさんの著書です。アトキンソンさんはこの書籍の中で、痛々しいくらい御自身が「よそ者、イギリス人である私が言うのも何ですが」という控えめな前置きをしながらも、手厳しくかつ正確に問題点の指摘や改善策を述べています。もしかすると同じ島国の国民として、しばしば見られる排他的な国民感情を理解した上での事なのかも知れません。それにしても、言葉の端々からこの国への愛情、熱意がにじみ出てくるのを感じます。ありがたい事だなと思います。

 

この本は本当に素晴らしい事がいくつも書かれているのですが、その中でも個人的に特に驚いた点がいくつかあります。

 

その一つが、京都等のお寺や美術館の「拝観料」や「入場料」がそもそも安すぎる、という指摘です。

 

このアトキンソンさんの意見には正直かなりびっくりしてしまいました。なぜなら私とは全く真逆の考えで、私は例えば京都のお寺の拝観料は単に入場して見せているだけで、何のコストもかけてないのになぜ徴収するのかと常々思っていたからです。しかし、それと同時に、一見すると真逆に見えるこの違いは、通底するものは全く同じなんだという事を知りました。

 

アトキンソンさんはこの本の中で、日本と世界の美術館、寺院などの有名観光スポットの入場料を調べています。すると、海外では平均で1,891円なのに対して、日本では593円。圧倒的な価格差です。ピサの斜塔の入場料は約2,400円。ルーブル美術館は約1,600円、イギリスのウインザー城は約3,500円で、そもそも海外では千円以下で入れるところはほとんどありません。

 

他方日本では高野山が最高で二千円ですが、これは極めて例外的で、伊勢神宮が300円に三十三間堂でも600円に金閣寺が400円。ほとんどがこの価格帯になっており、500円前後で団子状態になっています。

 

私は寺院や美術館を回るのは結構好きな方ですが、特段のサービスを受けている感覚は無く、単に見せてやっている、という印象しか受けません。なので、そもそも拝観料を取ること事態に違和感があり、むしろ500円も取るのはどうなのか、観光客が沢山来る地域ほど単にボウズ丸儲け(ボウズの方いらっしゃったら大変申し訳ありません。悪意はないのでお許しを・・)なのでは?と実は思っていまいた。

 

ところがアトキンソンさんの主張は真逆で、「日本の文化財は補助金頼みだが、予算は全く足りていない。なので本来はもっと自分で稼がなければならないが、それははしたないと考え、むしろ貰うべきお金を貰っていない。貰わない事で、本来行うべき努力をしなくてもよい免罪符にしているのではないか」いう問題提起をしています。

 

「・・・批判を覚悟してこの問題をシニカルに分析すると、入場料をあげたくないと強弁するのは、利用者の事を考えてではなく、今の価格設定がサービスをしなくてもよい最低ラインだからではないか、と思います。それ以上高くして、たとえば600円を1,500円にあげてしまうと、余計な仕事が増えてしまいます。「入場料を上げるな」というのは、「余計な仕事をしたくない」という言葉の言い換えではないかと、真剣に考えています」 国宝消滅 第五章 文化財の入場料は高いか安いか より引用

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この主張は実に腹にストンと落ちました。

 

確かに、お金を貰わないことで、本来やるべき事をやらない免罪符にする、出来る、というのは、どの業界でも十分あり得る事です。

 

例えば私のいる(事になっています)「ホームページ制作業界」は、チャン・キム博士も真っ青になるくらいのレッドオーシャンで、ダンピングは日常茶飯事です。動機こそ芸術や観光の業界とは違い、もっと予算を取りたいが取れないので値下げする、という形ではありますが、それが結果的に顧客にとってやるべき事をやれなくなるという点では一緒です。そしてそれが言い訳にも使えます。ただしそれで顧客が納得出来るかどうかは別問題です。

これ以上予算を削ると、あるいはその予算では、そもそもやれる事が限定過ぎて、やる事自体に意味が無いのでは?という事態が場合によっては起こります。参拝料もあまりに安すぎれば、単に通路を歩かせているだけですから(実際そういう所少なくないですよね)、それって貰う(徴収する)意味があるの?という事になります。

こう考えると、貰うべき予算、売上というは、本質的には二つの側面があり、単に引き受け手の都合、売上、という事ではなく、顧客にとって必要な、やるべき事をやるための手当でもあるという事がわかります。

つまり適正な価格に見直す、値上げをする、というのは、そもそも顧客の利益を守る上でも大事な事なのです。勿論顧客から見れば、安ければ安いに越したことは有りません。ですが、そのためにサービスが成り立たなくなってしまうような事があればそれは本末転倒ですし、それは結局顧客の利益を損ねてしまう事に繋がります。


文化財や寺院などの入場料も同様に、もっと高くて良く、利益をしっかり取って欲しい。そしてその分、見学する我々にもそれに見合ったサーブをし、保護修繕にしっかり使って欲しい。それこそがこの国の文化財をまもり育み、更なる世界への魅力発信にもつながって行くのだと思います。

ということで私は長年入会しておりました「寺院の見学料500円は高すぎるからもっと下げろ派」を本日(正確には昨年この本を読んだ時から)をもって卒業し、「安すぎるからもっとあげてサービスを向上して欲しい派」に転向いたします。

皆様の派閥入会をお待ちしております。そしてこの素晴らしい本を是非チェックしてみてください。損はしません。私が保証します(何のたしにもなりませんが・・)・。


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