犯罪捜査から学ぶ組織論-くくりの単位を変える視点

スポンサーリンク

警察というのは、基本的に都道府県単位での組織構成になっています(のはず)。それで、たまに警察の不手際で殺人事件の初動が遅れた、捜査にミスがあった、などという報道を目にする機会があります。

そういう報道を見ていてしばしば思うのは、実は問題解決のアプローチが全く経営(マネジメント)と一緒ではないか、という事です。

例えば、「従来の地域別なくくりではなく、技能別に束ねるという方法の方が良いのではないか?」という事を考えます。今の「地域」を基本とした管轄の中でも、経験豊かな担当者が応援で派遣されたり等はあると思いますし、現場の警察官は最大限の努力をしていると思います。犯罪を憎まない捜査官はいないでしょう。営業成績が上がらなくても良いと思う営業マンがいないのと一緒です。

しかし、田舎では基本的に犯罪らしい犯罪、というのはあまり起きません。このため、もし何か重大事件が起きた場合、当然それまでの経験や、踏んだ場数がモノを言います。お医者さんと同じで、年間10件しか手術をしない心臓外科医と、年間200件近い手術をこなす外科医とでは、自ずと腕の差が出てしまいます。これは能力の差というより、場数(環境)の差によるものです。そういう熟練のプロが、担当の垣根を越えて、素早く集まる、そしてその「集まり方」が大事なのではないか、という事です。

となると、実は最適解の一つは「地域別」ではなく、「専門別」という事になるではないだろうか?という仮説が成り立ちます。ただ、人材という事だけでいうのなら、今の警察組織も業務に応じて専門的に分けられていると思いますから、それら機動的な配備や主担当部署の決定方法、という事がとても重要なKFS(決定要因)になると思います。

方法論としてはいろいろあると思うのですが、つまるところ、個人として最大限の努力を払う、という事と、組織としてどうしたら最大限の力を発揮できるのか、という事は、やはり分けて考えなくてはならないのではないか、という事です。関係者の「思い」を結実させ、努力を無駄にしないために、目標-この場合は、犯罪者を逮捕する-を達成するために、どうやってみんなの力を結集すべきなのか。

一応(?)企業経営者ですので、「個人」と「組織」の事を良く考えるのですが、事件のニュースを見るたびに、結局捜査も経営も本質的には同じだな、さて、では、時間も予算も人手も限られている中で(警察組織も同様です)、自社が結果を出すためにはどうするべきなのか?「地域」「職種」「プロジェクト」「顧客」・・・様々な要素を、どれを縦糸、横糸として糸を紡ぐべきなのか、つらつらとそういう事を弱っちいシナプスで考えたりします。

でも、結局のところ、いろんな方法論があっても、いつも顧客の顔を見ているかどうか、が起点なのだろうと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました