閉塞した日本料理界?に見る人材教育の教訓とは

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ビジネス雑感

昨日、カンブリア宮殿を見ていて、「すしざんまい」のお話が出ていました。その中で非常に興味深かったのは、24時間営業、多店舗展開を実現するために、プロの寿司職人を中途採用するのではなく、自前の職人養成学校を作り、そこでイチから素人を寿司職人に育てていく体制を取っている事でした。


そしてなんと学校二日目から寿司を握らせるというのです。最終的には二年近くのカリキュラムと卒業試験があるとの事なのですが、二日目から握らせる、というのは、これまでの寿司屋の常識から大きく逸脱しています。大体3,4年経って初めて握らせるのがこの業界の常識らしいのですが、社長さんは番組で「寿司を習いに来ているのに、すぐ握って楽しさを知らずに、どうやって向学心が芽生えるのか」という様な発言をされていました。全体的に番組ではこの「すしざんまい」がいかに業界の常識に挑戦してきたか、というコンテクストで描かれていました。

この番組を見て、先日日経ビジネスで読んだ、あるおもしろい記事の事を思い出しました。以下ご紹介します。

京都でミシュランガイドの発表があった夜、立ち寄った店でたまたま隣に座っていた若い料理人と話をした。彼はその日三つ星を獲得したばかりの料亭で修行した経験があった。「寝る時間以外は朝から晩まで仕事です。その仕事も「盗んで覚えろ」とまともに教えられず、ちょっとでもミスをすると先輩の手足が飛んでくる。それで給料は小遣い程度。私だけではなく、多くの料理人が辞めていきました」調理師学校でも日本料理の人気は低い-日経ビジネス連載「食ありニッポン 60兆円産業の今1 ミシュランは黒船か」-P120

私の父も実は料理人だったのでわかるのですが、料理の業界というのは非常に古い世界で、特に和食の世界では顕著です。プライドも高いし、職人さんはやり方をなかなか変えません。このため、経営陣とも仕事の仕方で軋轢がまま起きます。

恐らく人材育成というのは、これという絶対解があるのではなく、その時代にあったやり方、と言うのがあるのではないか、と思います。例えば「盗んで覚えろ」という言葉も、「口を開けて待ってるな、分からない事があれば積極的に自分からどんどん聞きに来い」という主体的な勉強姿勢についてであれば、それは現代でも通じる話だと思います(当社もまさにそうしています)。

結局の所、教育の目的は優秀な人材に育て上げる、という事であり、特定の方法論にこだわること自体が目的ではありません。手段と目的があべこべになってしまいます。至れり尽くせりでは意味はありませんが、昔ならがらの厳しさ一辺倒でも人はついてこない、時代に合った人材育成方法というのが大事だと再認識させられました(私は徹底的に自分に甘いクチなんですけど・・・えへっ)

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