人類の歴史とみずほ銀行システム開発、クロニクル。

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人類の歴史とみずほ銀行システム開発、又は歴史のクロニクル。 雑感

35万人月(29,166年)をかけたみずほ銀行の基幹系業務システム開発。又は人類の歴史のクロニクル。

29,000年前 業務分析からプロジェクトスタート。 ネアンデルタール人全滅。

今日からみずほ銀行の基幹系業務システムの開発が始まる。日本のIT企業のエンジニアの10人に一人が携わる超巨大プロジェクトだ。長い道のりになりそうだ。このプロジェクトのために8年契約で借りたビルに出勤、まずは業務分析からスタートする。8年後に無事終わっている事を祈る。上流部はウオーターフォール開発で一番のキモ。顧客の書いたRFP(要件定義書)では絵に描いた餅で全く役に立たないので、ガシガシ進めていこう。家に帰って石器新聞を読むと、ほぼネアンデルタール人が絶滅し、クロマニヨン人(ホモ・サピエンス)だけになったという記事を見かけた。石器時代が中期から後期に入った事を知る。

17,000年前 要件定義へ。 氷河期の終わり。

大体業務分析が終わり、要件定義に入る。とにかくこのプロジェクトはかかわる人が膨大なので、何を決めるにも、実行するにもいちいちすごい時間がかかる。まるで巨大な伝言ゲームの様だ。結局ビルの賃貸契約は延長する事になった。フロントエンド機能の要件定義がほぼ終わる。世間では氷河期が終わり、気温が一気に7度も上昇、海面も25メートルも上昇した。オフィスのエアコンの効きも心無しか良くない。周りも水浸しで通勤にも一苦労だ。

14,000年前 要件定義終盤。 ラスコー洞窟で壁画が描かれる。

やっとねばっこいバックエンド機能の要件定義の終わりが見えてきた。金融系なので、何しろ多方面との連携が非常に多い。最近はATMだけではなく、新興の決済会社との連携も多い。あいつらが銀行システムにタダ乗りするのはあまり気分が良くないが、かといって無視も出来ない。現場は余計な負荷が増える。ペイペイだがポイポイだか知らないが、ホントに全く迷惑な話だ。通勤の帰り、近所のラスコー洞窟で同僚達が酔っ払った勢いで派手な落書きをしているのを見かけた。相当ストレスがたまっているのだろう。勝手なことして管理人に怒られなきゃいいのだが。

10,000年前 設計フェーズへ。 縄文時代になる。

要件定義が終わり、設計フェーズに入る。やっと上流部が終わりに近づく。何しろ金融系の業務システムなので、普通の企業の何倍も神経を使う。フロントエンド、バックエンド共にUI設計も行う。残業もそろそろピークで月100時間を越えるが、なぜか一律固定の残業手当しか出ない。社員の給与振り込みシステムこそバグってるんじゃないのか。家で妻と夕飯を食べようとしたら、見慣れぬ文様の食器が食卓に上がっていた。いつの間にか旧石器時代が終わっており、縄文時代に入っていた事に気がづく。

3,000年前 やっと設計終了。製造開発フェーズへ。 狩猟文化から農耕文化へ。

一番重い上流部がやっと終了。想定外にいろんな事があり、24,000年もかかってしまった。居酒屋でチームみんなでささやかな祝杯を上げる。僕は下戸なのでノンアルビール。結構美味い。これからはいよいよ設計から製造開発フェーズにさしかかる。僕は定期預金システム周りを担当する事になった。難易度はそれほど高く無いので内心ほくそ笑む(後で地獄を見る事を僕はまだ知らない)。そう言えば最近狩猟から農耕生活に切り替えて、定住生活をする人が目に見えて増えてきた。僕は課長に昇進した。給料はちょっと増えたが、責任は桁違いに重くなった。割に合わない。しかしマンションも買ったし、家族のためにも頑張らねば。

1,800年前 単体テストへ突入。 卑弥呼が現れる。

部長から呼び出される「おーい、山田君、来週から単体テストな。頼むぞ」。ついに製造開発が一段落し、テストフェーズに突入する。ここまで果てしなく長かったが、どうにか残業もかなり減ってきた。通勤の帰り、電車の窓から流れる風景をボーっと見ていたら、あちこちにデカい墓が作られているのに気づく。家でテレビを付けると、何でも世間では古墳ブームらしい。お金持ちは羨ましい限りだ。遠くでは邪馬台国という大きな都市が出来て、そこでは卑弥呼という女性が市長をしているらしい。女性の時代か。私も奥さんには頭が上がらない。

1,400年前 結合テストへ。 聖徳太子が憲法を制定。

単体テストがほぼ終わり、結合テストのフェーズに入る。外部接続テスト、顧客接続テストと全体的な予定はかなり遅れ気味だが、僕の定期預金システムはウエイトが比較的小さいのであまり深刻なバグは無い。この担当で良かった。他の部署を尻目に毎日3時間程度の残業で帰れる。今日も早めに帰宅して家でテレビニュースを見ていると、聖徳太子が冠位十二階や憲法17条を制定したと報じられていた。残業代を手当でごまかすのも違法だって書いてくれないかな。

900年前 大炎上始まる。 中尊寺金色堂建立。

結合テストに入った途端、不具合が本格的に出て来出す。バグを潰すしても潰しても他との関連でエラーが出る。ラチがあかない。「山田君、すまんが東北に出張にいってくれんか。バグが多すぎるので、サブシステムの担当をしている下請けのところで、設計から洗い直しをしてほしい。」えええ?このフェーズで設計のやり直し!?マジすか部長。そりゃないよ、どんだけ手戻りするの。。仕方なく急遽新幹線で岩手に向かう。途中弁当を食べながら車窓から風景を眺めていると、やたら金ピカのお寺を作ってるのが目に入った。あれが中尊寺金色堂か。地方は結構カネもってるなー。そういう会社のシステムの方が手離れも良いし、規模的にも作ってる感があっていいよぁ。銀行系システムがデカすぎて、どこをやっているのか全く作っている実感が沸かないよ。。

440年前 先が見えないデスマ突入。 本能寺の変。

結局ソースコードは他のシステムとの関係で大幅に仕様変更となり、膨大な手戻りが発生する。残業も他のチームとほぼ同じで毎日5時間もする羽目に。なんだそりゃあ。先が見えずいつ終わるのかも分からなくなり、まさにデスマ(デスマーチの略)大炎上。
ある日のこと、寝ていると未明に近所がやけに騒がしい。どうやら近所の寺で火事のようだ。しかしこちらもプロジェクトが別の意味で連日の大炎上中なので野次馬をする体力は無い。まあ離れているし大丈夫だろうとそのまま寝る。朝方、妻が血相を変えて起こしに来たので、何事だとテレビをつけると、なんと燃えていたのは近くにある本能寺で、織田信長が討たれたと!マジで!?どの局も緊急特番を流している。でもこっちもプロジェクトが炎上中なのでテレビもそこそこに出社する。しかしオフィスでもその話題で持ちきりで、サル(秀吉)や徳川はどするんだろうと仕事そっちのけでみな噂話に夢中。そりゃそうだよな。今日はみな仕事が手に着かない様子。

420年前 結合テスト終了へ 炎上収束へ。 関ヶ原の戦い。

やっと結合テストが終了。もうフラフラだ。でも全銀協等外部接続や為替の部隊と比べたら日付が変わる前に帰れるだけまだマシか。隣の部隊はパイプイスをくっつけたりソファで寝ている者多数。家に帰れてない。でもやっと炎上も収まってきた。それにしても最近やけに戦が多い。本物の炎上中の戦は終わる気配が無い。今日も帰宅後テレビをつけたら関ヶ原の戦いを伝えていた。相当長い戦になりそうだという噂だったが、まさか一日で終わるとは。これで静かになってくれればいいのだが、テレビを付けると、この後大阪でも大きな戦になるのではないかとコメンテーターが皆口をそろえてワイドショーでしゃべっている。

336年 リリースで大規模障害。頭取切腹。 生類憐れみの令が出る。

いよいよ緊張のリリース。だが、したとたん、ATMエラーで入金しても取引未完了となり、通帳に入れた現金が反映されない、他の銀行への振り込みが出来ない、振り込み予約したのに実行に数日かかるなどどえらいトラブルが多数発生。僕の定期預金システムは直接的には問題なし。ほっとするが、当然世間からは袋だたきにあう。徳川綱吉が生類憐れみの令を出し、ついでに頭取に切腹を命じる。銀行内は上へ下への大騒ぎになるが、他方またか、と処分慣れの空気も感じる。

今年(2021年) 一ヶ月で3連発。 トランプがいなくなる。

紆余曲折あったがやっと全てのシステムがリリース。「ホントお疲れさんな」と部長に声をかけられる。やれやれ、やっと終わった、、、と思って油断してたらまたもATMで大規模障害が週末に発生。一ヶ月で3連発というまさかの失態。今度は自分の担当した定期預金の月末更新も関係する。今回は頭取の切腹だけで済むだろうか・・。まだマンションのローンが終わっていないのよ。。気が付いたら、いつの間にか亜米利加の大統領がトランプからバイデンになっていた。魂の平穏はいつ訪れるのか。。牧歌的な石器時代が懐かしい。

 

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